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捻挫は放置しても治らない 有効な治療方法は?

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■捻挫は外力が加わり関節がずれた状態 日常繰り返し行う動作中にも捻挫は起き得る?

ヒトには260個余りの関節がありますが、多くの関節は、筋肉で動く構造になっています。殆どの関節は靭帯で強固に保護されていますので、少しばかりの外力で関節がずれることはありません。しかしながら、関節に強い力が加わると、靭帯が切れて関節の位置がずれます。関節がずれると痛みを伴い、運動に支障が出ます。その状態を捻挫と言います。捻挫すると腫れや内出血を伴う場合もありますが、脱臼と異なり運動が可能なので、捻挫を軽視する人が少なくありません。膝や足の関節を捻挫した際、歩行する時に痛みがあるにもかかわらず、腫れや内出血が出ないことも多いので、ずれていることを認識しない人が多いようです。

ヒトは、主に縮める筋肉(屈筋)と伸ばす筋肉(伸筋)を均等に働かせて関節を動かしています。スポーツ選手が、どちらかの筋肉を集中的に強化すると、関節がずれやすくなります。筋肉疲労は、捻挫を起こす引き金になります。捻挫を放置して運動を繰り返すと、疲労骨折をすることに繋がりますので、捻挫を危険信号と捉え、身体を休めることが大切です。

また、日常生活による反復動作も、同様の状態を引き起こします。窓ふきや風呂掃除など、関節に負荷がかかる姿勢で長時間繰り返し筋肉運動を繰り返すことにより、腰や膝等に関節捻挫を起こします。自分の筋力を超える重さの買い物袋を持ち歩くことも、肩や肘等の関節捻挫に繋がります。バランスを崩して、足首の関節を捻挫する場合もあります。運動不足や甘いものの取りすぎにより、筋力が低下して捻挫を起こすこともあります。あくびをして顎がはずれる・ずれる等はその典型です。振り向いただけで膝や股関節を捻挫する人もいます。

筋肉に疲労を感じたら、適度に身体を休ませることが大切です。50分労働したら10分休憩を取る、寒い場所で労働していたら夕方38℃から40℃程度のお風呂に3~5分入り体温を上昇させ筋肉の疲労を取る、22時以降は就寝して睡眠を7時間半から8時間程度取る等のことをして、捻挫しないような生活を心掛けることが大切です。

■捻挫は2~3週間で治る 長引く理由は? 

捻挫は、外傷の程度によって治癒期間が異なります。腫れや熱感を伴わず運動時に痛みがある程度であれば、「軽度」の捻挫です。約1週間で回復します。軽い腫れや熱感があり動かしたとき強い痛みを伴っている状態であれば、「中等度」の捻挫と判断できます。関節周囲の細胞が傷ついた状態ですので、回復に約2週間を要します。内出血があり関節周辺が赤く大きく腫れていて動かすと強い痛みを覚える状態であれば、「重度」の捻挫と判断できます。靭帯を部分断裂していることが考えられますので、回復に約3週間を要します。

いずれの場合も、関節を動かしたとき痛みを感じることが特徴です。痛みは、内臓の疲労から反射的に生じることもありますが、頭痛や肋間神経痛等と異なり、関節運動に限定されます。肩を回して一定方向に動かして痛みを感じる様なら捻挫が考えられます。その状態を看過して、日常活動を継続していると、関節周辺の筋肉は不均衡な運動を繰り返すことになるため、関節のずれが大きくなります。少しずつ運動時に痛む範囲が大きくなり、やがては強い痛みを覚えるようになります。「軽度」の捻挫から「中等度」の捻挫へと移行するわけです。動きが悪くなることにより、外力を不用意に受けやすくなることが少なく無く、「重度」の捻挫を引き起こす場合もあります。

強い痛みを放置していると、やがて、関節がずれたまま硬直します。運動範囲が狭小され、痛みは鈍痛に変わります。体力が低下すると寝ている時に痛みを感じるようになり、夜間痛がひどくなると睡眠不足に陥ります。この状態になると、なにが原因かわからなくなり、痛み止めを飲んでも解消されなくなります。その後、日中動かしていなくても鈍痛を感じ始めます。医療機関へ行くことを検討し始める時期ですが、痛みが多岐に亘り、何を訴えたら良いのか判断が付かず、鎮痛剤を飲みながら様々な病気を併発するようになる方が非常に多く来院しています。肩関節周囲炎と言われる状態ですが、俗称で「四十肩」や「五十肩」と言われます。元々は「軽度」の捻挫がスタートだという場合も少なくありません。

■捻挫は放置しても治らない 最初にすべきことは湿布を貼ること?

捻挫の大きな特徴は、関節が正常な位置にないということです。日本人は、痛みがあるというだけで湿布を貼る傾向にあります。湿布は、炎症を起こしている時に有効な治療法です。炎症は、「発赤・熱感・腫脹・疼痛」という4つの要素を備えている時を言います。炎症だと判断したら、直ちに冷やすことが大切です。4℃程度の水をタオルに染み込ませて患部に当てれば痛みは軽くなります。炎症が起きていないのに湿布をして患部を冷却していると、患部の筋肉が硬直して、関節のずれを助長します。氷で冷やしていると、関節のずれが大きくなり、湿布をしていないと痛みを強く感じ、腫れを誘発します。

軽度の捻挫の場合、関節に負担をかけず休んでいれば、2~3日で正常な位置に戻ることも考えられますが、湿布を2~3日していると、関節のずれが大きくなることが考えられます。関節に負荷をかける日常生活を繰り返すことにより、中等度の捻挫へと移行することがあります。特に、捻挫をした直後(関節を動かした際痛みがある時)に15分以上42℃以上のお風呂に入ると、関節の腫れを引き起こして入浴後に痛みが強くなります。捻挫(痛み)を軽視して、入浴をして痛みを解消しようとする人が、とても多く見られます。最初にすべきことは、まず安静と睡眠です。

■捻挫は6時間以内に徒手整復(非観血療法による外科手術)をすれば即座に痛みが解消または軽減します

「軽度」の捻挫の場合、2~3日安静を保っても痛みが消えないときは、自力で関節を修復することが困難な状態だと考えられます。また、「中等度」や「重度」の捻挫の時も同様です。徒手整復術をすることにより、2~3週間で回復することが可能です。

「軽度」の捻挫は、6時間以内に徒手整復(非観血療法による外科手術)をすれば即座に痛みが解消します。関節を4、5日から1週間程度保護することにより、回復が可能です。「中等度」の捻挫は、概ね痛みは軽減しますが、関節内の損傷が大きい時は、痛みが多少残ります。また、加重を強いられる膝や足関節の場合、立った時に痛みを覚えます。そのため、関節を10日から2週間程度固定する必要があります。筋力がやや低下しますので、固定除去後筋力回復に約4~5日要します。「重度」の捻挫は、3週間関節を固定する必要があります。3週間で関節は安定した状態になりますが、固定していたことにより、筋力が低下しますので、固定除去後筋力回復に約1週間を要します。いずれも、日常生活を送ることにより筋肉の回復を期待出来ますが、受傷時に損傷の程度が大きい場合や固定期間中十分な休養を取れなかった人等は、リハビリテーションが必要な場合もあります。

ただし、「重度」の捻挫は、靭帯損傷以外に骨折を伴っていることがありますので、整形外科医の受診を必要とする場合があります。専門医の受診が必要かも含め、徒手整復術(非観血療法)による治療が可能かは、お近くの整骨院・接骨院にいる柔道整復師にご相談ください。

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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